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Quality  Of  Life (QOL) 

​機能不全家族とアダルトチルドレンの実態

~子ども時代を引きずったままの大人たち/アダルトチルドレンと共依存

​・日本文化と共依存社会

 昭和の価値観といえば物質至上主義学歴社会、勝ち組負け組といった独特なヒエラルキー構造が存在していました。経済大国をつくろうと一致団結し、同方向へと集団を促すような集団心理が発達しました。その特徴が顕著に表れている世代を『団塊』というほどです。社会集団に属することこそが安全の法則となり、従順さを誰もが重んじたため、人間関係となるとすぐ権威権力・上下関係に留まりやすく、その影で個人心理や精神的自立の脆弱性が隠れていると社会心理学者は指摘します。従わせるものと従うものの関係のなか、一方が他方のために個人の尊厳を後回しにしながら自己犠牲的献身になっていく関係を共依存​社会といいます。

・機能不全家族(抑圧家族)

 親が養育者として機能していない家庭をさし、アダルトチルドレンや共依存が生まれる家庭をさします。自己の問題を他者に解決してもらいたがる人(依存)と、その人のお世話をする役割(共依存)が固定化した家庭です。

 アルコール依存症や物質依存の家族を例にすると、機能していない家庭の事実を否認し、嘘をついて問題のない家庭だと装います。子どもに対して親の問題を認めないように仕向けたり、事実をなかったことにするため、子どもの自己判断が徐々に歪んでいきます。家族の上下関係が硬直していて、感情の抑圧を強いられます。子どもは偏狭なルールのなかでたくさんの不満と孤独を抱えるため、豊かな感情は育ちません。

 人にすぐ迎合する習慣から自己を喪失する生き方が定着します。個人の尊重はなく、親の顔色を常に伺う役割を担わされます。

 

(例)良く怒りが爆発する家族、監視命令が非常に多い家族、他人や兄弟姉妹が比較される家族、良く批判する家族、外面だけよい家族、期待が大きすぎて堪えられない家族、お金・仕事・学歴だけが重視される家族、他人の目を気にする家族、養育者が病気がちな家族、留守がち・放任主義な家族、両親不仲でケンカが絶えない家族、祖父母両親が不仲な家族、親と子の役割が逆転の家族、両親の価値観が真逆な家族、養育者に依存症や嗜癖が多い家族、温かい感情の交流がない家族などがあげられます。

・身体的虐待・心理的虐待・精神的・経済的・性的虐待などが繰り返される

・完璧主義

・厳格な裁きを繰り返す

・上位者の判断ですべてが決まる

・親の要求はいつでも正しく、飲まなければいけない

・勝ち負けばかりを気にする

・融通性の無い家族ルール

・家族の秘密を守るために、外で家庭のことを話してはならない

・子どもは自分の感情は出さない、出してはならない

・楽しんだり喜んだりを振る舞ってはいけない

・社会、仕事、人生は辛いものでしかないと刷り込まれる

・境界が不鮮明で互いに役割を押し付け合う

・見捨てられまいと必死に役割を果たそうとする

・家族の中で恥をかかされ屈辱的な経験がある

 

 

・アダルトチルドレン

 アダルトチルドレンとは、もともとアルコール依存症家族の中で子ども時代を過ごし大人なったアダルトチルドレン・オブ・アルコホリックスに由来します(狭義)。現代では、狭義と機能不全家族の中で育った人たちを指します(広義)。アダルトチルドレンの心性はとても特徴的で行動や情動にも特徴もあります。

 子どもは自分らしさを表現することなく抑圧し、つねに他者を優先する生きづらさを抱えます。

未発達なアイデンティティーの中身は、

①自分本来の感情と同一する能力の障害

②危険に遭遇した場合の防衛手段の固着

③見捨てられ不安感情の持続

④親密性の障害

⑤抑うつや衝動性などがみられます。

アダルトチルドレンの行動は反復強迫の性質を持っているため、深刻化すると人格障害問題に発展します。

 幼少期までは『いい子』と認識され評判も良く、静かな思春期を送る人が多いです。その反動で青年期以降に行動が激化するものが多く『行動する子ども』と称されます。

・アダルトチルドレンファザー・マザー

幼少期から「いい子」になるように促された子どもが期待を背負い、「いい父親・いい母親」のイメージに囚われたまま生活を営み、苦悩や問題を抱え続ける男女をアダルトチルドレンファザー・マザーといいます。頑張るほどに追いつめられていく強迫症状を早期に発見し、陥っている共依存病理をケアをするアプローチが必要です。

 夫は仕事以外のすべて(子育てや家庭内雑事)を妻に任せており、妻は良妻賢母の名のもと、家庭の雑務・子育てすべてを担って営まれている家庭が代表的です。両親もそのような家庭が多く、自身もそれを結婚後両親と同様の家庭を営もうとして苦しみ心理的困窮を味わっています。妻は夫の評価ばかりを気にしていて、責任をひとりで背負い込んでしまいます。パートナーからの協力は得られない場合がほとんどです。

 負担を軽減するために子どもを巻き込んでいきます。心理的虐待とはわからずに日常生活を送っていきます。育児も社会評価を気にしていて、神経質や完璧主義や競争主義になりやすかったり、もしくは自暴自棄に陥って育児放棄をしやすくなります。家族全員が情緒が安定しない家庭をつくり出します。

・アダルトチルドレン心性における主な症状

恐怖心、怒り、興奮、衝動的、挑発的、反抗的、勝敗、攻撃的、自己誇大、自己陶酔、美化、過大評価、精神的な傷つき、恨み、邪推、孤独感、悲哀、屈辱感、自責感、罪悪感、無感動、自己憐憫、絶望感、慢性的な虚無感、感情の平坦化、ゼロ百思考、視野狭窄、強迫的思考、優柔不断、学習の障害、混乱、被害妄想、妄想癖、自己卑下、自己評価の低さ、自己卑小感、萎縮、楽しむことの困難、うつ、不安障害、パニック障害、情動抑制の障害、感情の抑制障害、人間不信など

・生き残りをかけたアダルトチルドレン役割の定着化

家族英雄(ヒーロー):高成績を上げて家族を良く見せる

道化師(マスコット):ピエロのように振る舞い家族間の葛藤を和らげる

世話焼き、宥め役:仲介役、混乱を調停する役割を果たそうとする

犠牲者(スケープゴート):自分が問題者となり家族病理の転換を図る

孤独、失われた子ども:目立たないことで家族の注目を引こうとする

ママの王子様:母子癒着、夫の代理

パパの王女様:父子癒着、妻の代理

頑張り屋:両親の代理を果たそうと頑張る子、頑張れば全て変えられると考える

奉仕者:両親の寂しさや虚しさを癒す役割から、誰でも奉仕すれば良くなると考える

※上記の役割を複数持ち合わせることがあります

・共依存

 共依存とは、依存症を支えるパートナーにみられる病理を指します。相手に見捨てられまいと、必死に感情を抑圧しながら相手に尽くす行動をします。その姿は傍から見るととても忠実です。相手の動向に過剰なまでに関心を持ち、相手の存在で自分の存在価値を確かめる病理です。

 自己評価を他人にゆだねるところがあり、自分の幸せの源を他人の評価の中にみます。日本文化に長く浸透した亭主関白と尽くす妻の姿は共依存のわかりやすい例です。

共依存者は相手の世話を焼き、無意識的に相手の問題行動を増長していきます(イネイブラー)。依存性の回復を妨げていることに気づきいません。愛情と癒着・しがみつきを錯覚し、正常と異常の判断が曖昧になり、不健全な同一化カプセルが際限なく強化されます。

 

・共依存の主な心性特徴

ネガティブコントロール:他人の世話を焼き、頼られることで安全を得ようとする

憎悪:保護と甘えを目的に対人関係を結ぶため、報われないと恨みの感情が起こる

関係の歪み:他人の行動を管理しようとするため同時に自分も支配されることになる

同一化:他人と境界線(バウンダリー)が引けず、感情が同一化しやすく不安定

支配:すべてをコントロールしたがる、他人を変えたがる、他者の評価を変化させようと努力するが失敗に終わることが多く、また負けを認めたがらない

親密性からの逃避:お互いに距離の取れた対等な関係が作られそうになると、不安が膨れ上がったり、喉がつまる息苦しさから耐えがたくなってその場から逃避したくなる

基本的不信感:相手のために何もしない、世話を焼かない状況は人に嫌われると思う

個人の喪失:自分の存在の意味がわからない、何がしたいか好きなこともわからない

過剰な心配:やっておかないと○○になるかもしれないとすぐ想像する

錯覚:関心と好意を勘違いしやすく劇的な感情の動きをする

その他にも救済者や殉教者、叱責や完璧主義、高成功者などの役割があげられます。

​共依存の核となる一次的症状、歪んだ認識の二次的症状はこちら

・介護困難の背景にある家族関係の病理

 人生100年といわれる時代。介護の現場では思い掛けない困難が待ち受けています。認知障害や老化に伴う身体機能の問題だけではありません。家族間に存在した確執や軋轢が、介護期になって浮上し円滑を妨げます。親子や兄弟姉妹の連携がまったく取れなかったり、誰か一人が犠牲になることさえあります。

 本音と建前の使い分け、恥をかかないように外面を重んじてきた家族では、とくに他人が家庭に関与することを拒否します。見栄やプライドが意地となり、一部の介護者に重労働がのしかかる事情が起こっています。

 依存・共依存関係は、介護期に入ると一方は支配的になり、もう一方は隷従的になるケースが一般的です。憤りや怒りが増えて減ることはありません。情緒的な関わりがもともとうまくいかない家庭の場合は、介護放棄や無関心も発生します。そうした困難な状態を作らないためにも、家族のあり方に早めに気づいて再構築することをおすすめします。

​自分らしさの喪失に気づいて回復を目指そう

アーユルヴェーダサロンハナミズキ・アダルトチルドレン

​家族関係・対人関係の病理を認識しよう

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